続・自分レスキュー その5(語りかける)

空気のなかに、近づいてくる雨の匂いを感じます。春から夏へと空気が変わっていくのを感じながら、ひとり机に向かっています。心の中で、私は、父に、そして母に、こころで語りかけます。

お父さん、お母さん、私は、あなたたちにとって、どんな存在なのでしょうか。親の思い通りにならない、親不孝者の、世間的に恥ずかしい娘でしょうか。「産んで損した」娘なのでしょうか。

でもね、この頃、私はあなたたちのことを、少しだけわかった気がするのです。

あなたたちにも、幼いころ、つらい日があったんですね。納得のいかない人生の選択肢を、親にむりやり決められ、さびしくて、くやしかった。その恨みを、いまでも心に傷として抱き続けているのでしょう。

亡くなった親たちに、本当はぶつけたかった思いは、やり場もなく、心の水底に残って、いまも凝り固まったままかもしれません。

いまだに自分たちの子や孫に対して、自分たちがされたと同じように支配することに執着しているお父さんと、お母さん、あなたたちの本当の幸せは、そんなところにはありません。子や孫への「支配」は、誰も幸せにしません。むしろ、同じ恨みを孫の代に手渡すことになるんです。その真実に気づいてください。

いっそいますぐ、子ども時代のあなたたちの所へ行って、そのさびしさ、その悔しさ、その辛さを受け止め、なぐさめたりはげましたり、することができたらいいのにね。

先日、記憶の中で、私が会いにいった亡くなった人たちは、あなたたちにしたことを、「あのときはすまなかった」と言ってくれました。いっそ、それがあなた達へ、届けられたらいいのに。

私はもう、あなたたちのことを、もう怒っていません。こころの中では勝手に記憶を書き換えて、おだやかに許し合える関係になりました。

私はただ、こうして、こころで願っています。人のこころを変えることを諦めた私の、この願いが、いつかあなたたちの心へ届きますように。さよなら、おやすみなさい。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です